相続の基礎知識1 亡くなってからから必要になる「昔の話」

2019年11月20日

相続では隠していたこと、知らなかったことでトラブルを招くものが2つあります。それは「家族が知らない負債」と「家族が知らない相続人」です。
私の知り合いも、枚方で心あたたまる家族葬が行われた後に、上記のようなトラブルが発生して、皆が悲しい思いをしていました。

家族が知らない負債

家族に内緒で借金をしているという人は少なくありません。相続の手続きが済んだ後、借金の存在が明らかになるのは、大きなトラブルになりやすいものです。なぜなら、人は「いったん手に入れたものを手放す」ということに、ひどくストレスを感じるものだからです。また負債の額が財産の額を上回っていた場合は、相続放棄をした方が良いのですが、相続の手続きをとった後では相続放棄をするのは大変です。財産がなく負債だけがある場合でも負債に気づいてから3カ月放置すると自動的に相続したことになってしまいます。まず、負債だけは明確にしておきましょう。どの資産や生命保険を返済に充てるかまで決めておくことができればベストです。

家族が知らない相続人

相続の手続きのなかでは、法定相続人全ての同意が必要になる場面が多々あります。配偶者と子ども全てを書き出しておきましょう。子供が亡くなっていても孫がいれば、孫が亡くなった子供の代わりに法定相続人となります。離婚した配偶者は法定相続人ではありませんが、離婚した元配偶者との間の子どもは法定相続人になるので注意が必要です。養子縁組をした子供も法定相続人です。
子どもも孫もいない場合には親、親もいない場合には兄弟姉妹が法定相続人になります。実務編のエンディングノートには、相続する権利のある人、全てを書き出しておきましょう。

戸籍と除籍を取り寄せておこう

実は相続では、法定相続人がほかにいないという証明をする必要も出てきます。結婚で戸籍が変わった人は結婚前の戸籍まで集めなければなりません。既に実家が誰もいなくなり戸籍がなくなっている場合は「除籍」というものを取り寄せることになります。
出生時の戸籍と現在の戸籍が違う場合や今住んでいる市町村に戸籍がない場合は、予め戸籍を取り寄せておいて、相続の手続きの参考にしてもらうとよいでしょう。ご自身も知らなかった相続人が明らかになることもあります。
大変かもしれませんが、残された家族があなたの昔の住所から、どの市町村に問い合わせればよいか調べることから始めるのに比べれば、大した負担ではありません。